今年の夏は、日本各地で猛暑が続いています。
こんな時期は外に出るのも面倒ですが、小学校が夏休みに入り退屈そうな表情を浮かべている息子のため、お出かけプランを練りました。
暑さが厳しい真夏の東京だから、涼しくて景色がいい水辺がベスト!
できれば自由研究の題材を見つけられそうなスポットがあって、せっかくだから美味しい食事が楽しめて、欲を言えば移動範囲がコンパクトで、それでいて移動そのものが楽しめる……なんて、我ながら無理を言ったものだと呆れましたが、なんと、大田区の大森エリアならそれが叶うのです。
移動に用いる乗り物は、「大田区コミュニティサイクル」です。http://docomo-cycle.jp/ota/
ドコモ・バイクシェアのシステムを利用したこの電動アシスト自転車レンタルサービスは、スマートフォンや専用ICカードを使い、無人のサイクルポートで気軽に貸し出し・返却できることが魅力。
借りた自転車は、区内に点在するどのサイクルポートに返却しても大丈夫(施設の営業時間により、一部サイクルポートでは利用・返却時間に制限があります)なので、移動プランの自由度もグンと高くなります。ちなみにこのサービスは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、渋谷区とも提携しているので、遠くの目的地まで自転車で走り、電車に乗って帰ってくることもできます。
借り出しに際しては、事前登録などの手続きが必要になります。
ちょっとだけ自転車を利用したい「1回会員」や通勤・通学などで頻繁に利用する「月額会員」、1日たっぷり走りたい「1日パス」など料金はプランによって異なり、また申し込み手続きはインターネット経由で行いますが、今回は携帯電話を持っていない子どもが一緒に出かけることもあり、有人窓口で専用ICカードを購入することにしました。
まず立ち寄ったのは、京急蒲田駅前にある大田区観光情報センター。
専用ICカードによるコミュニティサイクルの利用は、1台1日分の料金1500円(税抜)に加え、カード発行料500円(税抜)が必要になるので少し割高ですが、スマートフォンを使いこなしていない私にとっては、スタッフの方に詳しく説明していただけるこの方法が向いていると感じました。
「サイクルポートに到着したら自転車のバッテリー残量を確認してください」と教えていただいたとおり、まずはハンドルのスイッチパネルにある電源ボタンをプッシュ。
この自転車は「FL(満充電)」だから大丈夫。走る距離にもよりますが、80%以上残っていれば安心だそうです。もし残量が少ない場合は最寄りのサイクルポートまで走り、自転車を交換することもできます。
サドルの後ろにある操作パネルの「START」ボタンを押し、専用ICカードをタッチすれば、ガチャリとロックが解除され当日の23時59分まで自転車が利用可能となります。
スマートフォンを利用する場合は事前登録したIDとパスワードで会員サイトへログインし、取得したパスコードをテンキーに打ち込むことで解錠できます。
サドルを使いやすい高さに調節して、いざ出発!子ども用の自転車は用意されていませんが、身長が概ね145cm以上あれば問題なく運転できます。
息子は電動アシスト自転車初体験でドキドキしていましたが、坂道もラクラク走れる快適さにご満悦。海から吹いてくる涼しい風が心地よく、体力を消耗せず走れる電動アシスト自転車なら、真夏の暑さもそれほど気になりません。
最初に訪問したスポットは、1年を通じて野鳥観察が楽しめるほか、水田や湿地に住む生物と出会うことができる東京港野鳥公園。
自然を守る目的で1978年にオープンし、現在はシギ・チドリ類の重要な生息地として国外からも注目されているそうです。
入場料は大人(高校生以上)が300円、65歳以上と中学生は150円ですが、嬉しいことに小学生は無料(都内在住在学の中学生も無料)です。
「おひとつどうぞ」と受付でプレゼントされた可愛らしいドングリ独楽は、マテバシイの実を採集し手作りしたもの。近くにある城南島海浜公園のドングリはサイズが大きくて、工作に向いているそうです。
敷地内にある4つの観察小屋では水辺や山野など異なる場所に棲む鳥の姿を見ることができ、レンジャーやボランティアガイドの方の解説を無料で聴くことができます。また広場や森、水田でもたくさんの生き物を観察できるので、端から端まで歩き回りました。
熱中症を予防するため、水分の補給と休憩も大切ですよ。
中でもオススメは、ネイチャーセンターの地下1階で楽しめる干潟観察です。手が届きそうな場所にいるたくさんのカニを見つけて大興奮の息子は、「自由研究の題材にしたい」とメモを取り始めました。
たしかにこの場所なら研究の素材に事欠きませんし、大人も退屈せずに過ごせるので、1日いても飽きないでしょう。
ランチは隣接する大田市場で食べることにしました。「隣」といっても敷地が大きいので、正門まで自転車で5分ほどかかります。
5時から15時までは一般の人が見学できるコースがあり、施設内の店で食事を楽しむこともできます。事務棟前の駐輪場に自転車を止め、手動でしっかりロックしましょう。
お目当ての店は、事務棟の2階にある「かんだ福寿」。
「穴子天丼」と「富士丼」が名物と紹介されていた大田観光協会のパンフレットを見て、絶対に食べようと決めていました。
ボリュームたっぷりで中骨まで揚げてくれるサクサク食感の「穴子天丼」(1500円)と、海に面した市場ならではの新鮮な魚介がどっさり乗った「三花丼」(2000円)は、予想を上回る美味しさで大満足!
「富士丼」は現在、「三花丼」に名前が変わり、ねぎとろ、うに、いくらと3種類の具に季節のネタを加えて提供されています。「名前は『三花丼』だけど、実は『四花丼』なのよ(笑)」と女将さんが教えてくれました。
満腹のお腹をさすりながら次に向かった「大森 海苔のふるさと館」までは自転車で10分ほど。この施設には大田区コミュニティサイクルのサイクルポートがあるので、駐輪はこちらに。
大田区は江戸時代から海苔の生産地として知られ、現在でも多くの海苔屋が軒を連ねていますが、ここでは海苔づくりに使われた道具や資料、映像などを見ながら、海苔の歴史を学ぶことができます。入場無料なのも嬉しいですね。
続いて、すぐ隣にある「大森ふるさとの浜辺公園」へ移動しました。
工業で栄えてきたイメージの大田区からは想像しにくいですが、南国のようなまぶしい白い浜辺がこの公園の特徴で、イベント会場として利用されることも多いそうです。
公園内にはキレイな船着場がありました。まだ観光船の定期便などはありませんが、ここから水上バスに乗れる日が来るのかな……と、ちょっと楽しみになりますね。
東京モノレールの流通センター駅にあるサイクルポートで自転車を返却し、自転車の旅はここで終了。返却時はロックをかけた後、操作パネルの「ENTER」ボタンを押し、ICカードをタッチすることで手続き完了となりますので、忘れないように気を付けてください。
この日のプランは自然をエンジョイする前半パートと、舟に乗ってお台場で過ごす後半パートを用意していました。
ちょっと欲張りすぎたかな……と思いながらも、まだまだ元気が残っている息子と一緒に、3駅先のモノレール浜松町駅を目指します。
羽田空港と浜松町を結ぶ東京モノレールは京浜運河沿いを走るので、舟が行き交う東京の水辺の景色を眺めることができます。
お台場へ行くなら、ゆりかもめを利用する方法もありますが、東京の水辺を満喫する今日のプランなら、最後はやっぱり舟で締めくくらないと。
浜松町から日の出桟橋までは、歩いて15分ほど。お台場海浜公園へ行く水上バスは1時間に1本くらいのペースで運行しているため、それほど待ち時間を気にせず乗ることができます。
料金は大人が480円、子どもは240円とリーズナブル。
20分に満たない舟旅ですが、乗降や出航前の時間も楽しめることを考えるとお得ですね。
日の出桟橋から水上バスの他にもレストランシップも出ているようなので、次回はぜひ船に乗りながらお食事を楽しみたいです。
船上のデッキで風を浴び、レインボーブリッジを真下から眺めることができる水上バスの移動は、短い時間でも楽しさ満点です。
「帰りもまた乗りたいなぁ……」と乗ってきた水上バスを見送り、陽が傾いていくお台場の海を眺めながらしばし休憩。
家に着いた途端、どっと疲れが出そうだけど、見どころたっぷりで満足度も高く、本当に文句なしの1日でした。
夏休みはまだ先が長いけど、きっといい思い出になったね。