師走に入っても、まだどこか秋の温もりを感じさせていた東京に、いよいよ冬将軍が訪れました。空気が冷たくなると、屋外でのアクティビティも楽しみづらくなりそう?
いえいえ、将軍が連れてくるのは寒さだけではありません。冷たく澄んだ空気は、いつも見ている風景をシャープに、そしてハイコントラストに演出してくれるのです。
夜景の美しさも、割増しサービス中。となれば、マフラーと手袋を用意してでも出かけない理由はありません。
都心の夜景スポットとして人気のお台場では、12月の毎週土曜日、19時から打ち上げが始まる「お台場レインボー花火2018」や、臨海副都心のさまざまな施設がイルミネーションを点灯する「イルミネーションアイランドお台場2018」など、寒い冬でもイベントが満載です。
お台場レインボー花火2018
https://www.tokyo-odaiba.net/rainbow2018/
イルミネーションアイランドお台場2018
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/11/08/01.html
「お台場レインボー花火」のタイミングに合わせて出航するナイトクルーズも見つけたので、ちょっと贅沢に間近で花火を楽しむことにしました。
東京水辺ライン 水上バスで行こう! 12月限定!!ナイトクルーズ
http://www.tokyo-park.or.jp/waterbus/announcement/41102.html
旅の出発地点に選んだのは、浅草の水上バス乗り場。
どうせお台場へ行くなら、2018年8月の就航以来ずっと気になっていたエメラルダスに乗りたいと思ったからです。
水上バス乗り場は、隅田川にかかる吾妻橋のたもとにあります。浅草駅を出てすぐとアクセスが良好で雷門も歩いて数分の場所、出発まで時間があればランチも観光も楽しむことができます。
お台場海浜公園へ行く浅草発の水上バスは定期便と臨時便を合わせて数多く運行されていますが、この日のエメラルダスは4便でした。
しかもすべて予約で完売という驚きの人気ぶり!
利用する場合はインターネット予約がオススメです。
TOKYO CRUISE https://www.suijobus.co.jp/
スマートフォンを持っているなら、事前決済の電子チケットが便利です。
届いたメールからチケット画面にアクセスし、係の方に電子スタンプをポンと押してもらえば受付は完了。
電子チケットを提示すると待合所のカフェや船上店舗でドリンクが割引になるサービスもあるので、さらにお得ですよ。
出航時間が近づきエメラルダスが着岸すると、待合所内が不思議な一体感で盛り上がります。
エメラルダスは「銀河鉄道999(スリーナイン)」「クイーンエメラルダス」などの作者として知られる漫画家・松本零士氏がデザインを手がけた舟で、「子どもたちが思わず乗ってみたい」と思うことをコンセプトに誕生したヒミコ、ホタルナに続くシリーズ第3弾の最新作。
丸みを帯びたシルエットとシルバーメタリックのボディは、幼い頃に思い描いた宇宙船の姿そのもので、老若男女、分け隔てなく気分を高揚させてくれます。
折りたたまれて上方へ跳ね上がるハッチ型ゲートも、「まさに!」といったシステム。
乗船する際、頭を少し低くする手間さえも楽しい思い出に変えてくれます。
グラスエリアが広く、フロアと操縦席に大きな隔壁がない船内空間はとてもゆったりとしており、満席(定員100人)でも窮屈な感じがありません。
出航後、しばらくの間は船上デッキに出ることができないので、ソフトドリンクやアルコールを販売するカフェが賑わいを見せます。
浅草からお台場海浜公園までは、約55分の旅。
常に変わり続ける景色は見ているだけで楽しく、船上デッキに吹く冷たい風も心地よく感じます。
999(スリーナイン)世代には懐かしい星野鉄郎やメーテル、そしてエメラルダスなど人気キャラクターによる観光アナウンスが流れるため、船内で退屈することはありません。
今回は16時20分浅草発でしたが、夕暮れと夜、両方の景色を楽しめるこの時間帯の便は本当にお得だったと思います。
片道1560円(小人930円、幼児300円)の料金は、かなりのハイバリューと言っていいでしょう。
エメラルダスは基本的に自由席ですが、最大4人で利用できるボックスシートタイプのコンパートメントも3カ所用意されており、ゆっくり舟旅を楽しみたいグループや家族連れには、座席指定のこちらも人気でした。
お台場海浜公園に到着すると、もう空は真っ暗。
ライトアップされたレインボーブリッジと花火の打ち上げを待つ無数の屋形船が、水面を鮮やかに染めています。
「イルミネーションアイランドお台場2018」が実施されていることで、お台場はいつもと違う表情を見せています。
花火クルーズの出発時間まで少し散歩して、カフェで暖をとりながら景色を楽しみました。
舟は花火が始まる10分前の18時50分に出航しました。
少し沖へ出て湾内で停泊し、打ち上げを待ちます。
ちなみに、こちらも人気のクルーズなので、チケットは事前予約での購入がオススメです。
ドン!と大きな音が響くと、一瞬にして空が明るくなりました。
わずか10分という短い時間でしたが、遮るものがない大きな空に次々と打ち上げられる花火は見応え満点。
見るものは同じでも陸と海、場所が変わると景色も変わったように感じられ、本当に贅沢をしている気分です。
少し風は強めでしたが舟の揺れを感じることもなく、真冬の空に咲く美しい花火を堪能することができました。
花火が終わった後は20時25分まで、たっぷり時間をかけてクルージング。
真下から眺めるレインボーブリッジは圧巻の迫力で、カラフルなイルミネーションのおかげもあり、ちょっと感動してしまう美しさです。
東京タワーやパレットタウンの大観覧車をはじめ、ライトアップされた東京の水辺のランドマークを眺めるだけでも、十分に乗る価値があります。
5000円(小学生2500円)の料金設定も高いと感じさせないプレミアム感です。
余談ですが、この日のナイトクルーズではちょっと楽しいハプニングに遭遇しました。
船上デッキで景色を楽しんでいたら、「みなさん、しゃがんでください!」と船員さんから案内があり、クルーズ参加者が一斉に身をかがめる一幕がありました。
なんと満潮時の潮位が普段より高く、橋との間隔が狭くなっていたのです。
本当に手が届いてしまう距離で何本もの橋をくぐる舟旅はスリリングでしたが、参加者はみんな笑顔で楽しそう。船員さんに聞くと、さらに潮位が高くなった場合は折りたたみ式の柵を格納するため、一定区間は船上デッキに出ることができなくなってしまうとのこと。
本当に思い出に残る一日になりました。
また来年も…いえ、できれば年内にもう一度味わってみたいです、この楽しすぎる舟旅を。